【獣医師が解説】犬は室内・室外飼いならどちらがいい?飼う場所で寿命も変わってくる?
一昔前まで犬は外で飼われているのが当たり前でした。理由は番犬目的に飼われていたからです。
しかし、近年では小型犬の人気や人の住居環境により、室内飼いが増えています。
今回は室内飼いと室外飼い、それぞれの特徴を見ていきましょう。
目次
室内飼いと室外飼いで寿命が変わる?
基本的に、室外飼いの方が感染症や熱中症、事故にあうリスクが高いと考えられます。
また、室内飼いの方が愛犬のちょっとした変化に気が付きやすいですね。
その点を踏まえると室内飼いの方が寿命は長くなりそうです。
犬の年齢についての考え方はこちらの記事で詳しく解説しています。
室内飼いと室外飼いのメリットとデメリット
室内飼い、室外飼い、どちらも良い点・悪い点があります。
室外飼いの方は、どちらかというと主に飼い主さんのメリットが大きいです。
ここではメリット・デメリットを解説していきます。
犬を室内飼いにするメリット
犬を室内飼いにするメリットはたくさんあります。
長時間触れ合える
飼い主さんが家にいる間は一緒にいることができます。体も汚れにくいので飼い主さんにたくさん触ってもらいやすくなります。
何かあったときに気がつきやすい
愛犬に何かあったとき、すぐ近くにいるため気がつきやすいです。
いつご飯を食べたか、おしっこの回数が多いなど、ちょっとした変化も見逃しにくくなります。
近所トラブルになりにくい
室内のため、周りにペットが苦手な人がいてもトラブルになりにくいです。
近くに犬がいるとアレルギーを発症してしまう人がいますが、室内であれば安心です。
室内で犬の排泄物や毛の処理もできるので苦情を受けにくいといえます。
犬を室内飼いにするデメリット
犬を室内飼いにする場合も多少なりともデメリットは発生します。飼う前に知っておくことが大切です。
部屋の掃除が大変
愛犬が1日中家にいるので、家の中は汚れます。
例えばいろいろなものを舐めて唾液がつきます。ソファーでおしっこをする、大切なものをかじってしまうなどあるかもしれません。
そのため物の配置には気をつけなければいけませんし、毎日の掃除が大変になります。
家族が動物アレルギーになる可能性がある
犬と家族が濃厚に接触します。
もしかしたら、動物アレルギーを発症してしまう方もいるかもしれません。
体質的にアレルギーになりやすい方は、毛が抜けにくい犬を選ぶといいかもしれませんね。
犬種による性格や特徴の解説はこちらの記事でご覧いただけます。
誤食に注意
犬はいろいろな悪戯をします。小さいアクセサリー類やビニール袋、サランラップなどちょっとしたものを口にしてしまいます。
それにより腸に詰まってしまい、命に関わることがあります。
そういった物を口にしないように、日頃から整理整頓をしておく必要があります。
犬が食べてはいけないものについては、こちらの記事で詳しく解説しています。
犬の大きさによっては部屋の広さが必要
小さい犬は室内外に適していますが、大きい犬はある程度のスペースが必要です。
なかなかおうちの広さを変える事は難しいものです。
部屋の広さと成犬になったときの大きさを考えて、室内飼いできるかを考える必要があります。
分離不安になりやすい
愛犬をたくさんかまってあげられるのはとても良いことです。
しかし、いつでもどこでも一緒にいると分離不安症になってしまうことも。
分離不安症になってしまうと、飼い主さんがいなくなっただけでパニックになります。
家の中をめちゃくちゃにしたり、肌を掻きむしったりしてしまいます。
適度な距離感も必要です。
アトピーになりやすい
室外飼いの犬は基本的にアトピーが少ないと言われています。これは室内のハウスダストマイトによりアトピーになりやすいと言われています。
犬を室外で飼うメリット
犬を室外で飼うメリットにはどんな点があるのでしょうか。
家の中が汚れない
犬はいろんなところを舐めたりかじったり、物を壊してしまったりします。
お外にいれば、部屋の中が汚れる事はありません。
散歩後汚れを気にしなくて良い
お散歩した後でも、外にいるのであれば足を拭いたりする必要がありません。
犬を室外で飼うデメリット
犬を室外で飼うとデメリットもあることを知っておきましょう。
外的ストレスを受けやすい
ストレスを受けやすい。雨や風、雪、猛暑など気候のストレスを受けやすいです。また、場所によっては騒音のストレスを受けやすい場合もあります。
細かい変化に気がつきにくい
お水をどれくらい飲んだか、おしっこが出ているかなどは気がつきにくいかもしれません。
寂しい
家の中で飼われている犬と比較すると比較的飼い主さんと一緒にいる時間が短くなります。そのため少し寂しい気持ちになるかもしれません。
感染症にかかりやすい
ノミ、マダニ、フィラリアなど外部寄生虫にかかりやすくなります。
これらはお庭から排除することはできないので駆虫薬を使わない限りは感染しやすいといえます。
事故に遭いやすい
脱走してしまい、交通事故にあうことがあります。また盗難にあうケースもあります。
体が汚れやすい
常に外にいて土や風などで体が汚れやすい状態になります。
近所トラブルが発生しやすい
犬の性格によっては人が通るたびに吠えることで苦情が来ます。また排泄物の処理を怠ると臭いがしてしまい、トラブルになります。
換毛期には家が抜けやすくなるため、隣の家の洗濯物に気がつく可能性があります。
食べ物をもらう
飼い主さんが知らないところで食べ物をもらう可能性があります。良かれと思っておやつをあげているパターンもありますが、毒を盛られることもあるので注意が必要です。
室内飼い・室外飼いそれぞれの注意点
室内飼い、室外飼いにはメリット、デメリットがありました。少し気を使ってあげることで、どちらも犬にとって快適に過ごせるようになります。ここでは注意点について解説します。
犬を室内飼いするときの注意点
犬を室内で飼うときの注意点をまとめました。できれば飼う前に知っておくとベストです。
危険なものは部屋に置かない
観葉植物や口にしてしまいそうな小物類は必ず片付けるようにしましょう。
ご飯に注意
食べこぼしを狙って食べにくる子がいます。特にお子さんがいる家庭だといろいろな物を口にしてしまいます。タマネギなどの中毒を起こすものを口にすると危険です。
また有害でないものでも多くの種類の食べ物を食べていると食物アレルギーを起こすかもしれません。そのため、食べ物を漁ったり、拾い食いはさせたりしないように注意してください。
依存関係に注意
いつでも愛犬にかまいすぎると依存関係になり、分離不安症になってしまいます。
かまってあげるのはとても良いことですが、適度な距離感を保ちましょう。
犬を室外で飼うときの注意点
犬を室外で飼うときの注意点をまとめました。できれば飼う前に知っておくとベストです。
屋根付きの家が必要
外で買う場合は屋根付きのお部屋が必ず必要です。
夏は暑く人間でも熱中症になる人が増えています。犬も同様にずっと暑いところで日差しが避けられない所にいると熱中症になってしまいます。
逆に寒さのひどい冬ではお部屋がないと寒い思いをしてしまいます。できれば猛暑日や真冬や大雨など天候の悪い日は、家の中に入れてあげるとなお良いです。
リードが必要
リードをつないでおかないと脱走してしまう可能性があります。その場合はある程度の長さが必要です。あまり長さが短いとストレスになってしまいます。
感染症に注意
ノミ、マダニ、フィラリアなどに感染しやすいです。外の虫を完全に駆除する事は難しいです。
そのため日頃からブラッシングやシャンプーをして皮膚の状態をみてあげましょう。毎月駆除薬で予防することも大切です。
結局、犬を飼うのは室内・室外どちらがいいのか?
人間は番犬として犬と暮らしている家庭が多くみられました。現在はセキュリティが充実しているため、番犬として飼っている人は少なくなりました。
その代わり大切な家族として迎える方が多いようです。
外飼いがかわいそうと言う事はありません。住んでいる環境によると思います。体の割に、狭いお部屋にいるよりも広いお庭で飼われている子の方が幸せかもしれません。
病気の観点から言うと感染症になりやすいこと、異変に気づきにくいことを踏まえると、室内飼いの方が寿命は長く飼育環境は良いと言えるでしょう。
大切なのは愛犬への気遣い
室内・室外どちらかが幸せ、不幸ということはありません。愛犬は飼い主さんのことが大好きです。一緒に生活する上で、飼い主さんも幸せに過ごせなければ愛犬としても嬉しくありません。
家族であることに変わりないので、適度にかまってあげる、健康面も踏まえてよく見てあげることが大切です。
外に出たときに、皆さんが暑すぎたり寒すぎたり感じる場合は、犬も一緒です。その時は家にいれてあげる、エアコン付きの小屋を設置するなどの配慮が必要です。
この記事を書いた人
千葉 恵
獣医師
日本獣医生命科学大学卒業
卒業後、千葉県の動物病院にて小動物臨床に従事