【獣医師が解説】愛犬とドライブするときの注意点と車酔い対策の方法
最近では犬と一緒に泊まれる宿や施設が充実していますし、愛犬と一緒に車でお出かけする機会も多いのではないでしょうか。そこで気になってくるのが、愛犬とのドライブ方法です。
愛犬を安全に車に乗せなければ、事故に繋がります。さらには道路交通法違反(※)にもなります。車酔いに関しても、愛犬が具合悪くなってしまうのはかわいそうですよね。
ここでは愛犬とドライブするときの心構えや、注意点について解説していきます。愛犬と楽しくドライブをするために、ぜひチェックしてくださいね。
目次
愛犬と車でドライブ!基本の車の乗せ方
初めての愛犬とのドライブ。愛犬をそのまま助手席に乗せるのは大変危険です。まずは正しい車の乗せ方を解説していきます。
愛犬を車に乗せる方法
キャリーケースや車専用のドライブボックスに愛犬を入れてあげると安全です。万が一のことがあっても、愛犬だけがフロントガラスや外に投げ出されてしまう可能性が低くなります。
乗車させるときは、犬用のスロープなどがあると楽にできます。
座席の選び方
車の種類にもよりますが、基本的には後部座席やラゲッジが安全です。シートベルトをした時に、助手席の場合はキャリーバックがシートベルトからすり抜けやすいからです。
助手席に愛犬がいないと心配になる場合は、助手席にも固定しやすいドライブボックスの使用がおすすめです。ケースが安定しやすい座席を選んでくださいね。
犬を車に乗せるために必要なもの・便利なアイテム
愛犬を車に乗せる際に必要な物、あると便利なアイテムをご紹介します。
愛犬を守るケース
急ブレーキや万が一の事故による衝撃で、犬の体が放り出されないように安全な空間を確保する必要があります。体が不安定な状態は車酔いにもつながるので、愛犬が快適に過ごせるようにケースに入れるようにしましょう。
キャリーケースは柔らかい布製やハードタイプなど色々な種類があります。愛犬に合わせて選択できるのも嬉しいですね。ドライブボックスはシートベルトで固定することもできるので安心です。人がシートベルトをするのと同様に、愛犬の安全確保をしましょう。
大型犬の場合は体の大きさによってはキャリーにいれることが難しいため、ドライブシートなどがおすすめです。
ペットシーツ
ペットシーツはいつもより多めに持っていくと便利です。粗相した際や、嘔吐、お水をこぼした時など万能に使うことができます。使用したペットシーツをいれるために、ビニール袋もいつものお散歩より多めに持っていくと安心です。
常温のお水
こまめな水分補給は大切です。 脱水症状を防止するため、お水を持っていくようにしましょう。 冷えすぎたお水だとお腹を壊す可能性があるので、常温のお水を持っていくことをおすすめします。
酔い止め薬
ドライブの時間にもよりますが、車酔いする場合があります。事前に車に酔いやすい体質と分かっている場合や、普段よりも長距離ドライブになる場合は酔い止め薬があると良いでしょう。動物病院で処方してもらえます。
感染症対策
行き先によっては、日常生活よりも感染症にかかるリスクが高まります。ノミ・マダニを始めフィラリアやウイルス病への予防をおすすめします。
また、ドッグランなど施設を利用する場合に、ワクチン証明書が必要になります。ワクチンを打っていないと、愛犬が他の犬から病気をもらってしまう・うつしてしまうリスクがあるためです。
お出かけの際は予防だけでなく、ワクチン証明書を持っていくようにしましょう。
もしも愛犬が乗車するのを嫌がったときは?
愛犬が車に乗るのを嫌がる場合は、無理に乗せると嫌な記憶として残ってしまいます。嫌がる原因および対策についてみていきましょう。
嫌がる原因を考える
車に乗るのを嫌がってしまう時は、まずは原因を考えていくと良いでしょう。原因によって対策しやすくなります。
行き先に嫌な記憶
「車に乗ると動物病院で注射を打たれる」のように記憶をしていると、車に乗ると嫌なことが起きると認識してしまいます。
車に乗ったらできるだけ楽しいこと、嬉しいことが起きると認識してもらいましょう。
音や環境が怖い
ドライブ中に粗相をして怒られた、席から落ちてしまい痛い思いをした、車の音が怖いなどの恐怖心があると、車に乗ることが嫌になってしまいます。
車への慣れもありますが、車は怖くないものと認識してもらうことが大切です。
車が怖くないものと認識してもらおう
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まずは車という空間に慣れさせましょう。最初は車自体が未知の空間で緊張するものです。
車のエンジン音、振動、そして最初に行った場所が動物病院で注射…となると余計に怖く感じてしまいます。
まずは車を走らせない状態で車の中で遊ばせ、慣れさせるようにしましょう。車の中で数時間過ごしたらおやつをあげるなど楽しい場所だと認識できるといいですね。
車の中の環境に慣れてきたら実際に車を走らせてみましょう。最初は短い距離からスタートしていき、徐々に距離を長くしてみてください。車酔いに注意して、スピードはゆっくりにしましょう。
犬はドライブしてもストレスにはならないの?
ドライブがストレスになるかは、犬によって異なります。車の酔いやすさなども関係してくるかもしれません。しかし、基本的な考え方はお散歩と同じで、飼い主さんと遊びに行けると思えばストレス解消になるでしょう。慣れるまでは無理せずに、短めの距離から始めてくださいね。
愛犬とのドライブで注意したいこと6つ
せっかくの楽しいドライブも、一歩間違えれば飼い主さんも愛犬もつらい想いをしてしまいます。快適なドライブのために注意したいことを見ていきましょう。
車内を自由に動ける状態はNG
人がシートベルトをするのと同様に、犬もフリーな状態で乗車するのは大変危険です。運転や視野の妨げになる恐れがある状態での走行は、道路交通法違反(※)になります。
車両の運転者は、運転者の視野若しくはハンドルその他の装置の操作を妨げ、後写鏡の効用を失わせ、車両の安定を害し、又は外部から当該車両の方向指示器、車両の番号標、制動灯、尾灯若しくは後部反射器を確認することができないこととなるような乗車をさせ、又は積載をして車両を運転してはならない。
(※)参考:道路交通法の第五十五条2項
急ブレーキや何かの拍子に、体が飛ばされて窓ガラスにぶつかったり開いている窓から外に放り出されたりする危険性があります。
車内の温度に気をつけて
車内の温度は車酔いに関係するため、温度管理は重要です。少し涼しめにすると良いでしょう。特にキャリーケースの中に入っていると熱がこもりやすくなります。
後部座席の場合は、運転席に比べると暑く感じるかもしれません。そのためエアコンの設定温度には注意してくださいね。持ち運びできる扇風機があると車内の空気を撹拌できるので、1台持っておくと便利です。
車酔い
犬も車酔いがあり、程度はその子によって異なります。車に乗る時間が長い程酔いやすくなるので、最初のうちは短めのドライブから始めましょう。
窓から顔を出さない
窓から犬の顔が出ているのを見かけることがありますが、とても危険です。何かの拍子に窓から飛び出す、急ブレーキで体が放り出されるなどの危険があります。後続車に轢かれてしまう悲惨な事故もあります。窓を開ける場合は、顔が出ないように少しにしてください。
また、キャリーケースに入れるのは一見不自由に感じるかもしれませんが、事故を防ぐためには必要な空間です。
こまめな休憩を
愛犬も長時間、車に乗ると疲れてしまいます。酔いやすくもなるので、こまめに休憩をはさみましょう。サービスエリアにドッグランや犬用の設備がある場所もあるので、事前に調べてからドライブに行くと良いですね。
空腹や満腹は避けて
空腹状態、満腹状態でのドライブは避けましょう。どちらの場合も車に酔いやすくなります。食事をしてから少し時間が経ってから乗ることをおすすめします。
ルールを守って楽しいドライブを
愛犬とのドライブにあたり、注意したいことなどを解説しました。車に乗ることで普段のお散歩では行けないところも、愛犬と一緒に行くことができます。これはすごく楽しいことですよね。
しかし、正しく車に乗らないと、思わぬ事故につながってしまいます。
これまで、なんとなく助手席にフリーで乗せていたり、窓から顔を出したりしている方もいたかもしれません。ドライブ中は、何が起こるか分かりません。
今回の内容を参考にすることで、車内で安全に過ごすことができるでしょう。愛犬の安全・道路交通法を守りながら、楽しくドライブをしてくださいね。
この記事を書いた人
千葉 恵
獣医師
日本獣医生命科学大学卒業
卒業後、千葉県の動物病院にて小動物臨床に従事