【獣医師が解説】愛犬のマウンティング行為をやめさせたい!理由やしつけ方法を解説
いつもはかわいらしい愛犬が、他の犬や飼い主さんに腰を振るような行為をする事はありませんか?
この行為をマウンティング行為といい、犬にとっては普通の行動の1つです。
しかし一緒に生活する上で、マウンティングをして欲しくない状況もありますよね。
マウンティングをする理由や対策について解説していきたいと思います。
目次
犬のマウンティングとは?
「マウンティング」と言う言葉は、少し前に流行語大賞にノミネートされたことがあります。
そのため、割と聞き馴染みのある言葉かもしれませんね。
マウンティングと言う言葉を、実用日本語表現辞典で調べてみました。マウンティングとは、「自分の方が相手より優位に立っていることを示そうとする行為のことであり、とりわけ対人関係の中で自分の優位を示そうとして、何かにつけて自慢したり相手をけなしたりするような振る舞いの事」と書いてありました。
人の方ではマウンティングはこのような意味で使われています。
そのため、犬のマウンティングも相手より優位に立っているのを示す事、と考えている人もいるかもしれません。
しかし、犬のマウンティングは相手に優位性と見せつけるためだけの行動ではありません。
もともとマウンティングという言葉は、動詞のmountに-ingがついた単語で、乗り掛かる、またがるなどを意味します。
そのため、犬のマウンティングといえば腰を押し付けるような行為を指し、相手に優位性を見せつける、という意味合いでは使いません。
犬がマウンティングを止めない理由
犬のマウンティングは自然な行為の1つです。
マウンティングは動きが交尾に似ているため、性的なものと考えられがちです。
たしかに、子孫を残すための本能から来ているマウンティングもあります。
一方で、コミュニケーションの1つとしてのマウンティングもあります。
犬同士で上下関係を確認することや、飼い主さんに対して自分の方が優位だと示すことがあります。
その他にも、飼い主さんに遊んで欲しい場合、独占欲からおもちゃ等にマウンティングする場合などがあります。
このようにコミュニケーションの1つであるマウンティングは、自然にはなかなか止まりません。
しかし、ある程度は仕方ないにしても、他の犬や人などに迷惑かけてしまうのも心苦しいですよね。そのためマナーの問題として、
ある程度はしつけで無くしたいものです。
メス犬でもマウンティングすることがある
メス犬でもマウンティングをする事はあります。
腰を振っているので、マウンティングはオス犬がするイメージがあるかもしれません。
うちの子は女の子なのに何故腰を振っているの?と心配されている飼い主さんもよくいらっしゃいます。
しかし、マウンティングは性的に思われがちですが、自分の方が上であることを見せつける行為としても行われます。
また、コミュニケーションの一つのため、オス犬、メス犬関係なくマウンティングは見られます。
犬のマウンティングはしつけで止めさせられる?
マウンティングは犬の正常な行動の一つなので、完全になくす必要はないと思われます。
ただし、日常生活でマナー的に問題になる場合はもちろん止めさせるべきです。
飼い主さんや家族、他の犬にマウンティングする場合はしつけをします。
時間はかかりますが、しつけである程度抑えることが可能です。
しつけのやり方はこちらの記事で確認できます。
初めて犬を飼った方や、再確認したい方はぜひご覧ください。
オス犬がメス犬に乗っかるような、性的なマウンティングの場合は、避妊・去勢手術を行うことで、マウンティングの減少が期待できます。
一方で、人間やものに対するマウンティングに対してはあまり効果がないようです。
その他のマウンティングについても、原因別に対策をしていけばある程度減らすことが期待できます。
犬のマウンティングのしつけ方法
愛犬がお散歩中に他の犬にマウンティングしてしまったら、とても嫌ですよね。
マウンティングされた方も怖い思いをしてしまいます。
マウンティングを減らすためのしつけ方法を状況別に見ていきましょう。
他の犬へのマウンティング
愛犬がお散歩中に他の犬にマウンティングしようとした場合は、リードを短くし必ず止めるようにしてください。
また、指示が聞ける子であれば他の犬が近づいてきたら、一旦おすわりなどの指示を出します。
そして相手が通り過ぎるのを待つ、というのも効果的です。できたら褒めてあげてくださいね。
飼い主さんへのマウンティング
愛犬が飼い主さんにマウンティングしてしまう場合は、徹底的に無視をしましょう。
犬は基本的に無視されることをすごく嫌がります。
マウンティングされたくないからといって、怒ってしまうと余計に興奮させてしまいます。興奮するとマウンティングが増える可能性があります。
また、他のしつけでもそうですが、飼い主さんが怒っていることを愛犬が理解できていないケースがあります。
怒っているのに、飼い主さんに構ってもらえていると勘違いしてしまうのです。
マウンティングされたら、全く構わないように部屋から出て行ってしまうなど徹底的に無視をしましょう。
ぬいぐるみなどに対するマウンティング
ぬいぐるみやクッションにマウンティングすることがあります。
自分の方がぬいぐるみよりも優位に立っていることを示したい場合や、遊びで行っていることがあります。
飼い主さんや他の犬に対してではないので、そのままでも問題ないかと思います。
しかし、どうしても気になるようであれば、そのぬいぐるみ自体を取り上げてしまいましょう。
飼い主さんがマウンティングを嫌がっていると愛犬が分かれば、行動が減少するかもしれません。
また、暇なためにマウンティングやっていることもあります。
その場合は遊ぶ時間を増やして、エネルギーを発散させてあげるのもいいですね。
飼い主さんからのマウンティング行為は絶対にNG
愛犬がマウンティングをしているからといって、飼い主さんがマウンティングをしてはいけません。
体の大きさが違いますし、愛犬を余計興奮させてしまいます。
マウンティングをやめさせたいときは他の行動をさせるか、無視をしてください。
愛犬はどんな時にマウンティングをしていますか?
今回、マウンティングは性的なものだけでなく、様々な理由で起こることがわかりました。
ある程度はコミュニケーションの一つとして仕方がない部分はあります。
しかし、お散歩中に他の犬にマウンティング行為をする、または飼い主さんが怒っているのに喜んでくれていると勘違いしてマウンティングを行うのは良くないですよね。
愛犬がどういう時にマウンティングをしているのかが分かれば、しつけでマウンティング行為を少なくすることができます。
マウンティングはされた方も気分が良くないですからね。
飼い主さんや家族にマウンティングをした場合には遊ばない、無視をする。
他の犬にマウンティングをするのであれば、あらかじめマウンティングをしないポーズをさせる、去勢手術を検討するなどの対策をする。
このように、愛犬がどのような時にマウンティングを起こすのかが分かれば対策ができ、他の犬や人に嫌な思いをさせずに済みます。
誰にも迷惑をかけていないのであれば、そこまで問題ではありません。
しかし、マナーの問題として他の犬や人に対しては避けたいですよね。
愛犬のマウンティングで悩まれている場合は、まずはどのような場合にしてしまっているのかを考えて対策してみてくださいね。
この記事を書いた人
千葉 恵
獣医師
日本獣医生命科学大学卒業
卒業後、千葉県の動物病院にて小動物臨床に従事