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【獣医師が解説】犬の嬉ション(うれション)をやめさせる方法、なぜするのかを解説

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皆さんは、「嬉ション(うれション)」と言う言葉を聞いた事はありますか?
興奮時などに、おしっこをもらしてしまうことを指します。

たとえ嬉しくておしっこをしていたとしても、いろいろな場所・シチュエーションでおしっこをされてしまうのは困りますよね。

ここでは犬が嬉ションをする理由や対策など、解説していきたいと思います。

犬が嬉ションをする理由

嬉ションとは、犬が嬉しくておしっこをしてしまうことから作られた言葉です。
言葉だけ聞くと、“嬉しい時や良いことがあって、おしっこをしている”、ちょっとポジティブなイメージがあるかもしれません。

しかし、実際は特に嬉しくておしっこをしているわけではありません。
この動作に関して、嬉ションのような意味をなす単語が、特に見つかりません。
そのため、ここでは嬉しくないものも、嬉ションと書かせていただきます。

一体どういう時に嬉ションをしてしまうのでしょうか?

興奮した時の嬉ション

基本的には興奮したときにおしっこが出てしまう、嬉ションが1番多いです。
恐怖や怖がってする場合もあります。

例えば、遊びたい時や飼い主さんが帰ってきたときは確かにうれしいですね。
この場合は、嬉ションと言う言葉は適切と言えます。

不安や恐怖によって、興奮している場合は嬉しいとは言えませんよね。
苦手な人に会ったときや、病院での診察でおしっこをしてしまうことがあります。
これは嬉しくて嬉ションをしているわけではありません。

不安やストレスによる嬉ション

興奮した時との線引きが難しいですが、不安やストレスでも、嬉ションをします。
また引越しなど環境が変わった場合も、みられることがあります。

かまってほしい時の嬉ション

おしっこをすると飼い主さんが構ってくれると思って、嬉ションをするケースがあります。
お掃除をしに来てくれる、自分に何か言ってくれる、など狙って嬉ションをすることがあります

これはかまって欲しいアピールです。

服従心としての嬉ション

服従心を表す行動として、嬉ションをする場合もあります。

その場合、基本的には耳を平らにしたり、寝転がってお腹を見せたり、と服従ポーズをとってからおしっこをする形になります。

このように、嬉ションといっても嬉しい場合とは限りません。

また嬉ションと普通のおしっこするときの違いがあります。

通常おしっこをする場合、その子なりの動きがあります。
例えば地面や電柱の匂いを嗅いだり、おしっこをするところを探したりします。

一方で嬉ションをする場合はそういった動作がありません。そのため、見分けることができます。

嬉ションは年をとってからじゃやめられない?

子犬は嬉ションをしやすい傾向があります。
これはおしっこをうまく我慢することや、コントロールできないことが一因だと考えられます。
また成犬に比べて子犬の方が興奮しやすいのも一因です。

そのため一般的にはある程度、歳をとると落ち着く傾向にあります。

一方で、歳をとってからの場合は、原因によります。
しつけや対策によってある程度はやめさせられます。

犬の年齢についてはこちらの記事で詳しく解説しています。

犬種によって嬉ションする・しないが決まる?

特に犬種によって嬉ションするかどうかは決まりません。
性格的に興奮しやすい犬や、服従心の強い犬、精神的に不安定な犬に起こりやすいです。

子犬の時は犬種問わず、起きやすいですね。

犬種と性格についてはこちらの記事で詳しく解説しています。

犬の嬉ションはしつけでやめさせられる?

まずは嬉ションをする原因を考えてみましょう。
基本的には興奮させないようにするのが最も重要です。なぜ興奮するのかを分析します。
原因が分かればやめさせられる可能性があります。

犬の嬉ションのしつけ方法

嬉ションをしつけるにはいくつか方法があります。いくつか試してみて、我が子に合った方法をとっていきましょう。

落ち着かせる

とにかく興奮させない、これに尽きます。
興奮を抑えるのはなかなか時間がかかるかもしれません。根気が必要です。

例えば飼い主さんが帰ってきて大興奮で嬉ションをしてしまう場合は、すぐにかまわずに時間をおきましょう。
すぐに撫でたりかまったりしてしまうと興奮してしまいます。一度、落ちつかせてください。

苦手なことに慣れさせる

嫌なこと、苦手なことで嬉ションをする場合は、慣れさせればある程度減少するかもしれません。
例えば人に会うのが苦手な場合、少しずつ家族以外の人に会う機会を与えれば慣れるかもしれません。
また、いったんお座りの合図を出す、など他に意識を向かせるのも良いですね。

病院も基本的には注射や嫌なことばかりですが、お散歩コースで少し立ち寄る、行く回数を増やす、などで少しずつ慣れさせるのも良いでしょう。

いずれの場合も過度なストレスがかからないよう、必ず少しずつ慣れさせるようにしてください。
頑張ってくれたら、おやつなどご褒美を与えたくさん褒めてあげましょう。

無視する

飼い主さんに構って欲しくておしっこをしている場合は、構ってもらえないと分かればやめさせられるかもしれません。

嬉ションをした時は、完全に無視する、構わないようにします。
そうすることで、おしっこをしても相手にしてもらえないと分かり回数が減っていきます。

環境によるストレス

嬉ションが突然始まった場合は、もしかしたら環境のストレスが関係しているかもしれません。引っ越しなどで始まる場合があります。

もちろん引っ越しが悪いわけではありません。新しいお家に慣れるのに少し時間がかかります。ゆっくり時間をかけてリラックスでる空間にしてあげてください。

しつけても治らなかったときの対処方法

飼い主さんも根気よくしつけたものの、それでも治らなかったときは以下の方法を試しましょう。

怒らない

嬉ションはとにかく興奮させないようにすることです。

まずは嬉ションしても叱ったり怒ったりしないでください。
犬は人の言葉が理解できないためこちらが怒っていても喜んでいると勘違いしてしまうことがあります。そのため無視を貫いてください。

おむつをする

人に会う予定がある、嬉ションをしそうな場所に行く場合は事前にオムツをしておくと良いでしょう。
嬉ションをしてしまったとき、周りがもしかしたら騒いでしまうかもしれません。
そうすると余計に興奮してしまいます。

おむつをしていれば、そのような事態が避けられるでしょう。
ただしおむつは群れてしまい皮膚病の原因になります。こまめに交換して、必要のない時は外してあげてください。

泌尿器系の疾患を考える

特に興奮している様子がないのに少量のおしっこを頻回にする場合があります。
その場合は、泌尿器系疾患の可能性があります。一度、動物病院を受診してください。

嬉ションは嬉しいわけではない

飼い主さんが帰ってきて嬉ションをしているときは、確かに嬉しいのかもしれません。
しかし、このように、嬉ションをしたからといって、全てが嬉しいわけではありません。

それを理解していないと、愛犬は怖がっているのに飼い主さんが嬉しいと誤解してしまいます。それは愛犬とってストレスになり、かわいそうです。

嬉ションをした時は嬉しいと決めつけずに、ストレスがかかっていないか考えてあげてくださいね。

この記事を書いた人

千葉 恵
獣医師

日本獣医生命科学大学卒業
卒業後、千葉県の動物病院にて小動物臨床に従事

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